高市陣営、人件費を支払い悪質動画を製作した疑い AI 選挙操作問題が浮上

週刊文春は 5 月 27 日、高市早苗首相陣営の関係者が「AI を悪用し悪意ある動画を拡散させた」とする疑惑を報じた。

選挙期間中、高市氏の公設第一秘書・木下剛志が動画製作者の松井健に対し、「AI を使って毎日 100~200 本の否定的な動画を製作する」よう指示していた。松井氏らは約 20 台の携帯電話を活用し、1 台につき 3 つのアカウントを登録、計約 60 の Gmail アカウントを取得し、ソーシャルプラットフォーム上で複数の匿名アカウントを使って動画を拡散させていた。週刊文春はタイムスタンプ付きのショートメッセージやチャット記録など「67 点の証拠」を入手し、タイムラインとやり取りの内容を詳細に把握している。

高市陣営、人件費を支払い悪質動画を製作した疑い AI 選挙操作問題が浮上

今回の文春砲の焦点は、動画製作に AI 技術が使用された点にある。従来の選挙違反行為はポスターやチラシなどの物理的媒体に依存するケースが多かったが、今回の事件はネット選挙時代の新たな問題点を露呈させた。自民党総裁選挙期間中、否定的な動画の約 7 割が小泉進次郎氏を標的にし、「無能な傀儡」「世襲の花瓶」などの言葉が使われていた。その目的は、アルゴリズムによる拡散と短期間での大量配信によって視聴者を誤導することにある。こうした悪質な AI による大量生産がもたらす情報環境の悪化は、ポピュリズムの手法や従来の選挙運動の形態を根本的に変える可能性がある。

週刊文春はさらに、木下氏と松井氏が 8 回以上のオンライン会議を実施していたほか、選挙直前の昨年 9 月には木下氏がチャットのスクリーンショットで「次回はこのフレーズを使ってください」などと松井氏に具体的に指示していたことを明らかにした。松井氏側は動画の製作・拡散に関与したことを認め、「事前に高市事務所の秘書と調整した」と述べている。一方、木下氏自身は関与を否定し続けている。

現時点で公になっている内容だけを見ても、高市陣営の選挙戦略は「結果至上主義」でルールを無視するやり方である可能性が極めて高い。実際、今回の事件を受け、自民党内部では選挙期間中に AI 生成画像の「生成・修正」に関する表示義務を課す立法の議論が加速しており、与野党は 5 月 27 日に法案の枠組みで合意した。

問題は、これらの事実が確認された場合、首相のリーダーシップと統治能力に対する信頼性が深刻な打撃を受けることだ。

実際、高市首相はこれまでの国会答弁で「私もスタッフも一切関与していない」「秘書を信じている」と繰り返し否定してきた。週刊文春が入手した証拠に基づく報道に対し、明確な反証を示すことができていない。

こうした手法が、政策やビジョンで堂々と競うべき選挙の場で横行すれば、それ自体が日本の民主主義への信頼を自ら傷つける行為であると言わざるを得ない。

さらに、立憲民主党など野党は国会や関連機関で徹底した調査に乗り出す方針だ。東洋経済の報道によると、自民党内部からも「高市氏は証拠を示さなければ国民は納得しない」との声が上がっている。今後の国会審議の行方が注目される。