エヌビディア、株価急伸で時価総額4兆ドルが視野に-顧客の支出継続 – Bloomberg

米エヌビディアが半導体メーカーとして初めて時価総額1兆ドル(約144兆7000億円)を達成してから2年が過ぎた。だが今では、4兆ドルという節目が視野に入っている。

  今年に入り中国のDeepSeek(ディープシーク)が登場した際には、エヌビディア株は急落し、人工知能(AI)インフラへの投資が減速するとの懸念が強まった。だがその後、株価は再び上昇し、最高値を更新した。

関連記事:エヌビディア時価総額、米史上最大の5890億ドル減-DeepSeekショック

  大口顧客は積極的な支出を続けており、その多くがエヌビディアのコンピューティングシステムに流れている。4月の安値からの64%上昇によって同社の時価総額は3兆7800億ドルに達し、3兆7000億ドルのマイクロソフトを抜いて再び時価総額で世界最大の企業となった。

  エヌビディアの最新アクセラレーターを求める顧客層が拡大し、競合他社がまだ遠く及ばない状況の中、強気筋は同社株にさらなる上昇余地があるとみている。

関連記事:トランプ氏、中東のAI半導体アクセス拡充へ-エヌビディアなど恩恵

  ルーミス・セールスのアジズ・ハムザオグラリ最高投資責任者(CIO)は、「エヌビディアは真の意味で唯一無二の存在であり、この先10年以上にわたってその地位を維持すると考えられる」と述べた。

  こうした見方はハムザオグラリ氏にとどまらない。ループ・キャピタルのアナリスト、アナンダ・バルア氏は今週、エヌビディアの目標株価を175ドルから250ドルに引き上げた。これは約6兆ドルの時価総額に相当する水準だ。バルア氏はさまざまな分野の顧客による年間のAI支出が2028年までに2兆ドル近くに達すると予想している。同氏のエヌビディア株の投資判断は「買い」。

  バルア氏は25日付の調査リポートで、「エヌビディアのファンダメンタルズが現在の水準から拡大を続け得るというのは突飛に聞こえるかもしれないが、同社が中核技術の実質的な独占企業であり、価格決定力(および利益率)を有している点を忘れてはいけない」と記した。

  エヌビディアをはじめとするAI関連機器メーカーに対する強気姿勢は、年初に見られた動きとは極めて対照的だ。今年初めはディープシークの登場により、顧客による投資削減への懸念が広がっていた。現在では、米国の大手テクノロジーはコンピューティングインフラへの投資を一段と増やしている。

関連記事:メタのAI投資拡大、市場は好感-株価上昇余地巡り見解分かれる

  ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均によると、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、アルファベットは、来年度に約3500億ドルの設備投資を計画しており、今年度の3100億ドルからの増加が見込まれている。これら4社は、エヌビディアの売上高の40%余りを占める。

  とはいえ、エヌビディアの株価上昇を妨げ得るリスクも多く残っている。同社は半導体の製造を台湾積体電路製造(TSMC)に依存しており、トランプ大統領の気まぐれな貿易政策の影響を受けやすい。上乗せ関税を巡りトランプ氏が設定した90日の猶予期間は7月9日に終了する予定だ。

  また、エヌビディアの大口顧客が今後数年に支出方針を変更する可能性も否定できない。そうした企業の多くは、エヌビディアが提示する高価格を回避するため、自社での半導体開発に取り組んでいる。

  ポーレン・キャピタル・マネジメントのダン・ダビドウィッツ最高投資責任者(CIO)は、「バリュエーションは成長の持続性に左右される。大口顧客がエヌビディアだけでなく、自社の半導体開発にも支出して効率化を図ろうとしているとは既に知られている」と指摘。「このバリュエーションを正当化するには非常に強い前提が必要だが、われわれには需要がどうなるかについて十分に明確な見通しが持てていない」と述べた。

  エヌビディアの株価収益率(PER)は向こう1年間の予想利益ベースで32倍。S&P500種株価指数は22倍となっている。

原題:Nvidia Breakout Puts $4 Trillion Market Value Within Reach(抜粋)